歯石取りの頻度はどれくらい?適切な頻度と注意点を歯科医が解説

歯石取りの頻度について、よくある疑問

「歯石取りは何ヶ月ごとに受ければいいの?」

こんな疑問を持つ方は少なくありません。歯科医院で定期健診を受けると、必ずといっていいほど歯石取りを勧められますが、その頻度は人によって異なります。「3ヶ月に1回」と言われる方もいれば、「半年に1回で大丈夫」と言われる方もいるでしょう。実は、歯石取りの適切な頻度は、お口の状態や歯周病のリスクによって大きく変わるのです。

この記事では、阪東橋歯科クリニック院長として長年にわたり予防歯科と歯周病治療に携わってきた経験をもとに、歯石取りの適切な頻度と注意点について詳しく解説します。ご自身のお口の状態に合った頻度を知ることで、効果的な予防ケアを実現していきましょう。

歯石とは何か?歯垢との違いを理解する

まず、歯石について正しく理解しておきましょう。

歯石とは、歯垢(プラーク)が唾液中のカルシウムやリン酸などのミネラル成分と結合して石灰化したものです。白くて硬い塊で、歯の表面や歯と歯茎の境目に付着します。歯垢が歯石へと変化するまでには、一般的に約2日から2週間かかると言われています。

歯垢(プラーク)の特徴

歯垢は細菌の塊であり、柔らかくネバネバした形状をしています。食後24時間以内に形成され、適切な歯磨きで除去することが可能です。しかし、磨き残しがあると、わずか2週間ほどで硬い歯石へと変化してしまいます。

歯石の特徴と種類

一度歯石になってしまうと、歯ブラシでは除去できません。歯石には主に2種類あります。

歯肉縁上歯石は、歯茎より上の部分、つまり歯の表面に見える歯石です。唾液中の成分と結合して形成されるため、黄白色から茶褐色をしており、比較的除去しやすいのが特徴です。上顎の奥歯の外側や下顎の前歯の内側など、唾液腺がある付近につきやすい傾向があります。

歯肉縁下歯石は、歯茎より下の部分、つまり歯周ポケット内にできる歯石です。血液や歯肉溝滲出液中の成分と結合して形成されるため、黒褐色から暗緑色をしており、非常に硬くて除去しにくいのが特徴です。目視では確認できず、歯周病の進行に大きく関与しています。

歯石取りは自分でできる?セルフケアの限界と歯科処置の違いとは

歯石取りは自分でできるのでしょうか。
セルフケアの限界と歯科医院での処置の違いについて解説します。

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歯石を放置するとどうなる?全身への影響も

歯石そのものは死んだ細菌が石灰化したものですが、その表面は非常にザラザラしています。このザラザラした表面に新たな歯垢が付着しやすくなり、細菌が繁殖するための温床となってしまうのです。

歯周病の進行を招く

歯石に付着した細菌は、歯茎に炎症を引き起こします。初期段階では歯茎の腫れや出血といった症状が現れますが、放置すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされてしまい、最終的には歯が抜け落ちる原因にもなりかねません。日本の成人の約8割が歯周病に罹患しているといわれており、歯を失う原因の第一位となっています。

口臭の原因になる

歯石に付着している細菌は、食べカスや剥がれた粘膜の細胞などを分解する際に、揮発性硫黄化合物というガスを発生させます。このガスが不快な口臭の主な原因となります。歯周病が進行して歯茎から出血や膿が出ている場合は、さらに血生臭さや腐敗臭のような臭いが発生します。

全身疾患との関連

歯周病はお口の中だけの問題ではありません。歯周病菌が血流に乗って全身に巡ることで、さまざまな全身疾患との関連が指摘されています。

具体的には、心臓病、脳卒中、糖尿病、肺炎、早産・低体重児出産などのリスクが高まることが研究で明らかになっています。阪東橋歯科クリニックでは、歯周病治療を全身の健康管理の一環と捉え、将来の健康リスクを見据えた診療を行っています。

歯石取りの適切な頻度は?状態別の目安

それでは、歯石取りはどれくらいの頻度で受けるべきなのでしょうか。

結論から言うと、歯石取りの適切な頻度は一律ではありません。個人の口腔内の状態や歯周病のリスクによって、最適な間隔は異なります。

基本は3ヶ月に1回が目安

多くの方にとって、歯石取りは3ヶ月に1回の頻度が推奨されています。これは、歯周ポケット内の歯周病原菌が、歯石除去した後、約12〜16週でもとの状態に戻る傾向があるためです。細菌量が増加し、歯周病の悪化や再発を防ぐために、通常は3ヶ月に1度のメンテナンスが必要とされています。

歯周病リスクが高い場合(1〜3ヶ月に1回)

以下のような方は、より頻繁な歯石除去が必要です。

  • 歯周病が進行している方
  • 歯周ポケットが深い方(4mm以上)
  • 歯石がつきやすい体質の方
  • 糖尿病などの全身疾患がある方
  • 喫煙習慣がある方

これらの方は、1〜3ヶ月に1回の頻度でメンテナンスを受けることで、歯周病の進行を抑制し、歯の健康を維持することができます。

口腔内の健康状態が良好な場合(3ヶ月)

一方で、以下のような方は、3ヶ月に1回程度でも問題ない場合があります。

  • 歯周病のリスクが低い方
  • セルフケアが徹底できている方
  • 歯石がつきにくい体質の方
  • 定期的に歯科健診を受けている方

ただし、これはあくまでも目安であり、歯科医師との相談のもと、ご自身に最適な頻度を決めることが大切です。

歯科医院での歯石取りの流れと内容

実際に歯科医院で行う歯石取りは、どのような流れで進むのでしょうか。

口腔内の診査・歯周ポケットの測定

まず、お口の中全体を診査し、歯周ポケットの深さを測定します。プローブと呼ばれる器具を使って、歯と歯茎の境目の溝の深さを確認し、歯周病の進行度を評価します。4mm未満を軽度、4〜6mmを中等度、6mm以上を重度と分類するのが一般的です。

スケーリング(歯石除去)

次に、スケーリングと呼ばれる歯石除去を行います。超音波スケーラーや手用スケーラーを使って、歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石を丁寧に除去していきます。歯周ポケットが深い場合は、ルートプレーニングという処置も行い、歯の根の表面を滑らかにして汚れが付きにくい状態にします。

PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)

歯石除去の後は、PMTCを行います。これは、専用の器具とペーストを使って、普段の歯磨きでは落としきれない汚れや着色を除去する処置です。歯の表面がつるつるになり、歯垢が付きにくい状態になります。最後にフッ素を塗布して歯質を強化し、むし歯予防効果を高めます。

歯磨き指導

セルフケアの質を高めるため、正しい歯磨き方法をお伝えします。今の磨き方のクセ、ご自身に合った歯ブラシや磨き方、重点的にケアすべき箇所などを分かりやすく説明し、「続けられること」を大切にした指導を行います。

歯石を溜めないためのセルフケア

歯科医院での定期的な歯石取りは重要ですが、日々のセルフケアも欠かせません。

正しい歯磨きで歯垢を徹底的に除去する

歯石の原因となる歯垢は、毎日の歯磨きで除去できます。食後はできるだけ早く歯を磨き、歯垢が歯石に変化する前に取り除くことが大切です。歯ブラシは歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かして磨きましょう。1本1本丁寧に磨くことを心がけてください。

デンタルフロスや歯間ブラシを併用する

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは十分に落とせません。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の歯垢もしっかり除去しましょう。特に、歯石がつきやすい下の前歯の裏側や上の奥歯の外側は、念入りにケアすることをおすすめします。

食生活を見直す

糖分の多い食べ物や飲み物は、歯垢の形成を促進します。間食を控え、バランスの取れた食事を心がけることで、お口の中を健康に保つことができます。また、食後に水やお茶を飲んで口をすすぐことも、歯垢の付着を減らす効果があります。

歯石取りに関するよくある質問

Q1. 歯石取りは痛いですか?

歯石取りの痛みは、歯周病の進行度や歯石の量によって異なります。歯茎が健康で歯石が少ない場合は、ほとんど痛みを感じません。しかし、歯周病が進行して歯茎に炎症がある場合や、歯周ポケットが深い場合は、多少の痛みを感じることがあります。痛みが心配な方は、事前に歯科医師にご相談ください。

Q2. 費用はどのくらいかかりますか?保険は適用されますか?

歯石取りは、基本的に保険診療の範囲内で受けることができます。3割負担の場合、初診で約3,000円前後、再診で約2,000円前後が目安です。ただし、歯周病の進行度や処置内容によって費用は変動します。詳しくは、受診される歯科医院にお問い合わせください。

Q3. 歯石取りの器具は市販されていますが、自分でやってもいいですか?

市販の歯石取り用の器具(スケーラーなど)を使って、ご自身で歯石を取ることはおすすめできません。歯石は歯の表面に非常に強固に付着しており、無理に取ろうとすると歯のエナメル質を傷つけたり、歯茎を損傷したりする危険性が非常に高いためです。また、歯周ポケットの奥深くにある歯石は、目視で確認することが難しく、安全かつ完全に除去することは不可能です。安全で効果的な歯石除去には、専門的な知識と技術、そして専用の器具を扱う歯科医師や歯科衛生士による処置が不可欠です。

まとめ:定期的な歯石取りで健康な歯を守りましょう

歯石取りの適切な頻度は、お口の状態によって異なります。

健康な方は3ヶ月に1回、歯周病リスクが高い方は1〜3ヶ月に1回が目安です。しかし、これはあくまでも一般的な目安であり、ご自身に最適な頻度は歯科医師との相談のもとで決めることが大切です。

阪東橋歯科クリニックでは、日本歯周病学会のガイドラインに基づいた科学的根拠に沿った歯周病治療を実施しています。歯周組織の精密検査を行い、お一人おひとりの歯周病リスクをお伝えしながら、定期健診の頻度をご相談させていただいております。

「悪くなってから治す」のではなく、「悪くならないように守る」予防歯科を重視し、「今ある歯をできるだけ残すこと」「将来も安心して食事・会話ができること」を目標に、予防歯科と歯周病治療に取り組んでいます。

歯ぐきの腫れや出血、違和感がある方はもちろん、症状がなくても定期的なチェックをおすすめしています。ぜひ一度、阪東橋歯科クリニックまでご相談ください。あなたのお口の健康を、長期的にサポートいたします。

著者情報

阪東橋歯科クリニック 院長 瀧川 龍一

経歴

・日本大学中学校・高等学校 卒業

・日本大学松戸歯学部 卒業

・日本大学松戸歯学部臨床研修医 修了

・日本大学松戸歯学部顎口腔機能治療学講座 非常勤医員

・横浜市歯科医院にて副院長

・都内歯科医院にて分院長

・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医

所属

日本歯科補綴学会

クラ・ゼミ保育園 吉野町 園医

ララランド横浜伊勢佐木 園医