歯石取りで血だらけになる理由とは?歯周病との関係と注意点を解説

歯石取りで血だらけになっても心配ない理由

歯科医院で歯石取りを受けた際、口をゆすいだら血が混じっていて驚いた経験はありませんか?

「血だらけになった」「歯茎を傷つけられたのでは」と不安になる方も多いでしょう。

しかし、実は歯石取りで出血すること自体は決して珍しいことではありません。むしろ、出血は歯茎の状態を知らせる重要なサインなのです。

日本では20歳以降の約8割もの人が歯周病にかかっているといわれており、同じように歯石取りで出血したり痛みを感じたりする人は非常に多いのが現実です。出血を防ぐためには、まず「しっかりと歯石を取り除くこと」が健康な歯茎への第一歩となります。

歯石とは何か?なぜ除去が必要なのか

歯石(しせき)とは、歯垢(しこう=プラーク)が石灰化したものです。

歯垢は食べカスを餌に口の中の細菌が繁殖した細菌の塊であり、毎日の歯磨きで落とすことができます。しかし、歯磨きが不十分な場合、歯垢が歯の表面に長い間留まり、唾液の中に含まれるカルシウムやリン酸が付着して石灰化が起こります。

その結果、歯垢が石のように歯の表面にこびり付いて歯石に変化し、歯磨きでは落とすことができなくなってしまうのです。

取りやすい歯石と取りにくい歯石

歯石には2種類あります。

**歯茎より上に付いた歯石**は、磨き残しや食べカスなどの汚れと唾液によって作られたものです。白~黄色い色をしており、クリーニングでは比較的簡単に除去することができます。

一方、**歯茎より下についた歯石**は、歯周ポケットと呼ばれる溝の中に硬くこびりついている状態です。お口の汚れ・唾液・血液によって作られたもので、赤黒い色をしています。歯茎の下の見えにくい部分に頑固に付着しているため、「麻酔が必要」「歯茎の炎症が落ち着くのを待たないといけない」など、歯石を除去するのに時間がかかります。

歯石を放置するとどうなるのか

歯石を放置すると、歯と歯茎の間の溝(歯茎溝、歯周ポケットと呼ばれます)を塞いでしまい、溝の中にいる細菌が洗浄されずに繁殖を繰り返し、歯周病を更に進行させます。

また、歯石の表面はザラザラしているため、ツルツルとした歯の表面と比較して歯垢や着色が付きやすく、不衛生になりがちで、歯周病はもちろんのこと、むし歯や口臭を引き起こします。

歯石は歯磨きで落とすことはできないため、歯科医院で専用の器具や器械を使用して歯石取りをしなければなりません。どんなに頑張って歯磨きをしても100%全ての歯垢を落とすことは難しいため、定期的に歯科医院で落としきれない歯垢や、こびり付いてしまった歯石を落としましょう。

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歯石取りで出血する本当の理由

歯石取りで口の中が血だらけになった経験がある方もいるのではないでしょうか。

歯石取りをして口をゆすぐ際に出血していると驚くかもしれませんが、基本的に心配する必要はありません。口に含んだ水によって出血が薄まり、大量に出血して血だらけになっているように見えることがありますが、実際の出血量はごくわずかです。

傷が原因の出血ではない

「出血=傷がついた」と思われがちですが、実は歯石を取るときの出血の原因は「**歯茎の炎症**」であることがほとんどです。

歯石が長期間付着していると、歯茎に炎症が生じます。炎症している歯茎はとても敏感で触れるだけでも出血や痛みを伴うことがあります。一方で健康な歯茨は、触れるだけで出血することはありません。つまり、歯茎からの出血は、歯茎が炎症を起こしていることを意味しています。

歯茎が炎症を起こすと粘膜が弱くなり、歯茎の周りを軽く触っただけでも簡単に粘膜が破れてしまいます。歯磨きや歯石取りの時に痛み・出血があるということは、「汚れが溜まっている」「歯肉炎や歯周病が進行している」と歯茎が助けを求めている状態なのです。

出血は歯茎からの危険信号

歯茎からの出血は炎症のサインですが、これは歯石取りのときに限ったことではありません。

日常の歯磨きにおいても同じことが言えます。もし歯磨きで出血や痛みを伴うようなら、歯茎が炎症を起こしているととらえましょう。

歯茎の炎症は歯周病の初期の症状です。歯周病は自覚症状が少なく、気づかないまま進行してしまいます。そのため出血という重要なサインを見逃さないことが歯周病を予防する上で非常に重要です。

痛いからそのままにすると、汚れや細菌がこびりつき頑固な歯石となってしまいます。まずはしっかりと歯石を除去して、お口の汚れをリセットすることを目指しましょう。

出血はどのくらいで収まるのか?

歯石を取り除くことで歯茎の炎症が落ち着き、だんだんと歯茎が引き締まった健康な状態を取り戻していきます。

ほとんどの場合、歯石取りを受けてから数日程で出血は止まります。歯茎が改善するまでの時間はお口の状態によって異なるため、炎症部分に刺激を与えないように気を付けながら様子を見ていきましょう。

出血が続く時の自宅で出来る対処法

歯石取りをした後は歯磨きへの意識も高まりやすく、ついつい歯ブラシを持つ手にも力が入ってしまいがちに。

歯茎の炎症を落ち着かせるためには、歯ブラシを「**やわらかめ**」のものに変えて丁寧に優しく磨くようにしましょう。

注意したいのは、歯石取りを受けてから1週間以上経っても出血・痛みが続く場合です。歯茎の炎症だけでなく別の原因が考えられるため、早めに歯科医院を受診しましょう。

歯周病と歯石取りの関係

歯周病は、日本の成人の約8割が罹患しているともいわれる非常に身近な病気です。

しかし、初期段階ではほとんど自覚症状がなく、気づいた時には重症化しているケースも少なくありません。

阪東橋歯科クリニックでは、日本歯周病学会が示す歯周病治療ガイドラインに基づき、科学的根拠に沿った段階的な治療を行っています。ブラッシング指導による原因除去、スケーリング・ルートプレーニングによる歯石・感染組織の除去を行い、重度症例には歯肉剥離掻把術(FOP)など外科的処置にも対応しています。

歯周病は全身の健康にも関わる病気

歯周病はお口の中だけの問題ではありません。

歯周病菌が血流に乗って全身に巡ることで、心臓病、脳卒中、糖尿病、肺炎、早産・低体重児出産など、全身疾患との関連が指摘されています。

阪東橋歯科クリニックでは、歯周病治療を全身の健康管理の一環と捉え、将来の健康リスクを見据えた診療を行っています。歯ぐきの状態、骨の吸収度合い、生活習慣まで総合的に評価し、その方にとって無理のない、現実的な治療計画を提案しています。

予防歯科で「治療が必要ない口」を目指す

むし歯や歯周病は、一度治療をしても元の健康な状態に完全に戻るわけではありません。

削る・治す治療を繰り返すほど、歯の寿命は短くなってしまいます。

そのため阪東橋歯科クリニックでは、「悪くなってから治す」のではなく、「**悪くならないように守る**」予防歯科を重視しています。

定期健診・PMTCによる徹底した予防管理

当院の予防歯科では、定期健診とPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を中心に、普段の歯磨きでは落としきれない汚れの除去、歯石・着色の除去、フッ素塗布による歯質強化、正しいセルフケア方法の指導を行い、むし歯・歯周病の発症リスクを根本から下げていきます。

予防歯科がもたらすメリットとして、むし歯・歯周病の早期発見・早期治療、痛みや治療負担の軽減、通院回数・医療費の抑制、自分の歯で長く食事を楽しめることが挙げられます。

阪東橋歯科クリニックでは、「何も問題がない状態を維持するために通う歯科医院」であることを目指しています。

一人ひとりに合わせたオーダーメイド診療

歯周病や予防ケアに正解は一つではありません。

生活習慣、年齢、セルフケアの状況によって、必要な治療やケア内容は異なります。当院では、複数の治療選択肢を提示し、患者さまが納得した上で治療を進めることを大切にしています。メリットだけでなく、デメリットや注意点も丁寧に説明し、無理のない治療計画を立てていきます。

まとめ:歯石取りでの出血は炎症のサイン

歯石除去時の出血や痛みの原因は歯茎の炎症です。

そしてこの炎症の原因は歯石であることがほとんどです。炎症を改善し、歯茎の出血を止めるためには歯石の除去が必要となります。

しかし、一番良いのは炎症を引き起こす原因である歯石を付着させないようにすること。つまり予防です。虫歯・歯周病予防のためにも定期的にクリーニングを行ってお口の中を清潔に保つようにしましょう。

阪東橋歯科クリニックは、「今ある歯をできるだけ残すこと」「将来も安心して食事・会話ができること」を目標に、予防歯科と歯周病治療に取り組んでいます。歯ぐきの腫れや出血、違和感がある方はもちろん、症状がなくても定期的なチェックをおすすめしています。

歯石取りで血だらけになっても、それは歯茎が健康を取り戻すための大切な一歩です。不安に感じることなく、定期的な歯科受診を続けていきましょう。

著者情報

阪東橋歯科クリニック 院長 瀧川 龍一

経歴

・日本大学中学校・高等学校 卒業

・日本大学松戸歯学部 卒業

・日本大学松戸歯学部臨床研修医 修了

・日本大学松戸歯学部顎口腔機能治療学講座 非常勤医員

・横浜市歯科医院にて副院長

・都内歯科医院にて分院長

・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医

所属

日本歯科補綴学会

クラ・ゼミ保育園 吉野町 園医

ララランド横浜伊勢佐木 園医