歯周病の初期症状は気づきにくい?見逃されやすいサインを解説

「歯磨きのときに少し血が出るけど、大丈夫かな・・・」

そんな経験はありませんか?

歯周病は、日本の成人の約8割が罹患していると言われる身近な病気です。しかし、初期段階ではほとんど自覚症状がなく、気づいた時には重症化しているケースも少なくありません。

歯周病は「静かな病気」とも呼ばれ、痛みがないまま進行することが特徴です。歯ぐきの腫れや出血といったサインがあっても、「疲れているせいかな」「強く磨きすぎたかな」と見過ごしてしまいがちです。

この記事では、阪東橋歯科クリニック院長の瀧川龍一が、歯周病の初期症状として見逃されやすい6つのサインと、早期発見のポイントを詳しく解説します。セルフチェック方法もご紹介しますので、ぜひご自身のお口の健康を確認してみてください。

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歯周病とは?なぜ初期症状に気づきにくいのか

歯周病は、歯を支える組織に炎症が起こる疾患です。歯と歯ぐきの境目に細菌が溜まり、歯ぐきに軽度の炎症が生じるところから始まります。

初期段階では痛みや腫れといった明確な自覚症状がほとんど現れません。これが、歯周病が気づかれにくい最大の理由です。

歯周病の炎症はゆっくり進むことが多く、神経への刺激が少ないため痛みを自覚しにくい場合があります。そのため、炎症が広がり始めても違和感が乏しいまま進行してしまう場合があります。

さらに、歯周病は生活習慣や加齢、磨き残しなど複数の要因が重なることで発症しやすく、症状が徐々に進行するため、変化に慣れてしまい気づきにくくなることもあります。

こうした特性から、初期症状だけで判断することは難しく、歯科検診による客観的な確認が早期発見に大きく役立ちます。痛みがないことを「問題がない」と結びつけず、定期的に検査を受けることが歯周病の予防に重要です。

見逃されやすい歯周病の初期症状6つのサイン

歯周病の初期段階では大きな痛みや腫れは出にくいものの、注意すべき小さなサインが現れることがあります。以下の6つのサインに心当たりがある方は、歯周病の可能性があります。

1. 歯磨き時の出血

最も一般的な歯周病の初期症状の一つが、歯磨きやデンタルフロス使用時に起こる「歯ぐきからの出血」です。多くの方が「強く磨きすぎたせいかも」と思いがちですが、歯ぐきが健康であれば、少し強めに磨いても出血は起こりません。

出血は歯ぐきに炎症が生じているサインであり、この時点で歯周病を疑う必要があります。歯ぐきが炎症を起こしていると、歯ブラシが当たっただけの軽い刺激でもすぐに出血してしまいます。

2. 歯ぐきの赤みや腫れ

健康的な歯ぐきはピンク色で引き締まっています。また、歯と歯の間はV字形をしています。しかし歯周病になると歯ぐきが腫れて、赤く丸みのある形状になります。

歯ぐきが少し赤みを帯びていたり、歯ブラシが触れると軽く腫れぼったさを感じることがあります。また、以前より歯ぐきが疲れやすい、なんとなく張ったような感覚が続く場合も歯周病の初期症状に該当する可能性があります。

3. 朝起きたときの口のネバつき

就寝中は唾液の分泌が減少します。そのため口内の細菌が増殖しやすい時間帯です。寝起きに口腔内がネバネバしたり口臭が強い場合は、歯周病菌が沢山繁殖しているサインです。

口の中のねばつきや、朝起きたときの不快な口臭も、歯ぐきに炎症が起きているサインとして見逃せません。これらの変化は、単なる体調の波や一時的なケア不足と思われがちですが、歯周病の早期発見につながる重要なヒントになります。

4. 口臭が気になる

歯周病の原因になる細菌が出すガスが口臭の原因になるため、歯周病菌が繁殖していることから口臭が強くなっている可能性もあります。また、症状が悪化した際に排膿も口臭の原因になります。

口臭を指摘されることがある場合は、歯周病のサインかもしれません。

5. 歯ぐきが下がってきた

歯ぐきの炎症が進行すると、歯根部分にも感染が及び歯ぐきが下がってしまうため、歯が長くなったように感じることがあります。また歯と歯の間にすき間ができて食物が挟まりやすくなったりもします。

歯ぐきの色や質感の変化も重要なサインです。歯ぐきが下がることで、以前は見えなかった歯の根元が露出してくることがあります。

6. 歯ぐきのムズムズや痛み

歯ぐきの腫れがひどくなると痛みを伴うこともあります。また、顎の骨が溶かされて歯が動揺すると、噛んだ拍子に痛みを感じる原因にもなります。

噛んだときに軽度違和感があったり、歯ぐきがムズムズするような感覚がある場合も、歯周病の初期症状に該当する可能性があります。

歯周病のセルフチェック方法

歯周病は初期症状がほとんどありません。そのため、気づかないうちに進行してしまいます。歯周病の疑いがあることに気づくためにも、ぜひ以下のような症状がないかセルフチェックしてみてください。

  • 歯ぐきが赤く歯と歯の間が丸い
  • 歯磨きやデンタルフロス使用時に出血する
  • 歯ぐきがムズムズもしくは痛い
  • 歯ぐきが下がって歯が長く見える
  • 朝起きたときに口の中がネバネバする
  • 口臭を指摘されることがある
  • 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった
  • 歯がグラグラする

これらの症状が1つでも当てはまる方は、歯周病の可能性があります。早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

ただし、セルフチェックだけでは不十分です。もちろん日々鏡で自分の歯ぐきの状態を見たり、歯磨き時の出血を気にしたりすることは大切ですが、肉眼では見えない部分に問題があることも多いため、歯科医師による専門的な診察が欠かせません。

歯周病になりやすい人の特徴

歯周病になりやすい人には「なりやすい理由」があります。原因を知ることが予防につながることもありますので、日常的に心掛けておいていただきたいこともご紹介します。

歯磨き不足が一番の原因

一番の原因は、歯磨きができていないこと。もしくは磨き残しが多いことです。歯磨きの習慣が整っていない方は歯磨きをすることはもちろんですし、歯はとても複雑な形をしているので、磨いている人も、効率の良い磨き方が出来ているかが重要です。

咬み合わせや歯の側面はもちろん、舌側面や歯と歯の間など、歯面全体を磨くようにしましょう。また、歯ブラシだけでは、汚れ全体の60%程しか落とせないと言われていますので、デンタルフロスや歯間ブラシを活用して、歯ブラシの毛先が届きにくい部分も忘れず磨くようにしていきましょう。

唾液の分泌が少ない

唾液は「自浄作用」といって、口内を自然に洗浄したり殺菌したりする力があります。唾液の分泌が少ないとその効果が薄く口腔内が汚れやすくなってしまいます。また、ストレスや喫煙なども唾液の分泌を阻害するため、唾液を減らしてしまう要素がある方は、歯周病のリスクが上がっているかもしれません。

良質な唾液分泌を促すためにも水分をしっかり摂りましょう。適度にストレス解消を心がけたり、喫煙が原因として気になる方は本数の調整や禁煙を考えてみてください。

歯並びが悪い

同じ部分に汚れが蓄積したままになることが歯周病発症の一番の原因になるので、歯並びの凸凹が多いと、整っている歯並びに比べて汚れが残りやすく歯周病になりやすくなります。細かく意識して歯磨きすることが大切です。

妊娠中の方

妊娠中に分泌が増える女性ホルモンは、歯周病菌が好む傾向があるという研究結果があります。特につわりの時期は歯ブラシを口腔内に入れることもできない人や、食事が不規則になる人も多いと思います。非妊娠時よりも歯周病になりやすいため「妊娠性歯肉炎」を発症しやすいので気を付けましょう。

歯周病が全身の健康に及ぼす影響

歯周病はお口の中だけの問題ではありません。歯周病菌が血流に乗って全身に巡ることで、さまざまな全身疾患との関連が指摘されています。

特に、40代・50代の方に関係が深い健康リスクとの関連が多数報告されています。歯周病が関係しているかもしれない全身の病気には、以下のようなものがあります。

  • 心臓病:歯周病菌が血管に入り込むと、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高まるとされています
  • 脳卒中:歯周病の炎症物質が脳に影響を与え、脳血管疾患との関係も指摘されています
  • 糖尿病:歯周病は、血糖コントロールを悪化させる原因のひとつ。糖尿病と相互に悪影響を及ぼします
  • 肺炎:高齢になると歯周病菌の誤嚥(飲み込み)による肺炎のリスクが高まることも
  • 早産・低体重児出産:女性では、歯周病が早産・低体重児出産のリスク要因とも言われています
  • 認知症:最近では認知症とも大きな関係があると言われています

つまり歯周病は、お口だけの問題ではなく、全身の健康を脅かす疾患なのです。阪東橋歯科クリニックでは、歯周病治療を全身の健康管理の一環と捉え、将来の健康リスクを見据えた診療を行っています。

阪東橋歯科クリニックの歯周病治療

阪東橋歯科クリニックでは、日本歯周病学会が示す歯周病治療ガイドラインに基づき、科学的根拠に沿った段階的な治療を行っています。

段階的な治療アプローチ

歯ぐきの状態、骨の吸収度合い、生活習慣まで総合的に評価し、その方にとって無理のない、現実的な治療計画をご提案しています。

  • ブラッシング指導:正しいセルフケア方法の指導による原因除去
  • スケーリング・ルートプレーニング:歯石・感染組織の除去
  • PMTC:プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング
  • 外科的処置:重度症例には歯肉剥離掻把術(FOP)など外科的処置にも対応

予防歯科を重視した診療

むし歯や歯周病は、一度治療をしても元の健康な状態に完全に戻るわけではありません。削る・治す治療を繰り返すほど、歯の寿命は短くなってしまいます。

そのため当院では、「悪くなってから治す」のではなく、「悪くならないように守る」予防歯科を重視しています。

定期健診とPMTCを中心に、普段の歯磨きでは落としきれない汚れの除去、歯石・着色の除去、フッ素塗布による歯質強化、正しいセルフケア方法の指導を行い、むし歯・歯周病の発症リスクを根本から下げていきます。

一人ひとりに合わせたオーダーメイド診療

歯周病や予防ケアに正解は一つではありません。生活習慣、年齢、セルフケアの状況によって、必要な治療やケア内容は異なります。

当院では、複数の治療選択肢を提示し、患者さまが納得した上で治療を進めることを大切にしています。メリットだけでなく、デメリットや注意点も丁寧に説明し、無理のない治療計画を立てていきます。

まとめ:早期発見で歯周病から歯を守りましょう

歯周病は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、見過ごされやすい病気です。しかし、早期に発見することで進行を防ぎ、健康な歯ぐきを取り戻すことが可能です。

今回ご紹介した6つのサイン(歯磨き時の出血、歯ぐきの赤みや腫れ、朝起きたときの口のネバつき、口臭、歯ぐきが下がる、歯ぐきのムズムズや痛み)に心当たりがある方は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

歯周病を悪化させないことはQOLの維持に大きく貢献します。「今ある歯をできるだけ残すこと」「将来も安心して食事・会話ができること」を目標に、予防歯科と歯周病治療に取り組んでいます。

歯ぐきの腫れや出血、違和感がある方はもちろん、症状がなくても定期的なチェックをおすすめしています。阪東橋歯科クリニックでは、患者さまが安心して通えるように、丁寧な説明と無理のない治療計画を心がけています。

歯を守ることは、健康寿命を伸ばすことにもつながります。

「まだ大丈夫」と思っている今こそ、予防のスタートを切るチャンスです。お口の健康について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

著者情報

阪東橋歯科クリニック 院長 瀧川 龍一

経歴

・日本大学中学校・高等学校 卒業

・日本大学松戸歯学部 卒業

・日本大学松戸歯学部臨床研修医 修了

・日本大学松戸歯学部顎口腔機能治療学講座 非常勤医員

・横浜市歯科医院にて副院長

・都内歯科医院にて分院長

・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医

所属

日本歯科補綴学会

クラ・ゼミ保育園 吉野町 園医

ララランド横浜伊勢佐木 園医