歯石除去で痛みを感じるのは異常なのか?
歯石除去を受けたことがある方の中には、「痛かった」「しみた」という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
実は、健康な口腔内であれば、歯石除去で痛みを感じることはほとんどありません。痛みを感じる場合は、お口の中で何かしらの問題が起きている可能性があります。
歯石除去の痛みは、歯茎の炎症や知覚過敏など、さまざまな原因によって引き起こされます。痛みの原因を理解し、適切な対処法を知ることで、安心して歯石除去を受けていただけます。
この記事では、歯石除去で痛みを感じる原因と、痛みを軽減する方法について詳しく解説します。

歯石取りのメリット・デメリットとは?後悔しないために知っておきたい注意点
歯石取りにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
後悔しないために知っておきたい注意点を解説します。
歯石とは何か?なぜ除去が必要なのか
歯石は、磨き残した歯垢(プラーク)が唾液中のミネラルと結合して、時間の経過とともに石のように固くなったものです。
歯石の表面はザラザラしていて、まるでスポンジのように、さらにたくさんのプラークを吸い寄せてしまいます。このプラークの中にいる細菌が、歯茎に炎症を起こす主な原因となります。
一度歯石になってしまうと、どんなに頑張って歯ブラシでゴシゴシ磨いても、残念ながら自分では取り除くことができません。そのため、歯科医院で専門的に歯石を除去する処置が必要となります。
歯石が引き起こす問題
歯石を放置すると、以下のような問題を引き起こします。
- 歯周病の進行・・・歯石が溜まっていると歯ブラシが届きにくくなり、細菌が増殖しやすい環境になります。炎症が続くと、歯を支えている骨にまで広がり、骨が溶けてしまう「歯周炎」へと進行します。
- 口臭の原因・・・歯石やその周りに付着したプラークの中には、口臭の原因となる細菌がたくさん住んでいます。これらの細菌は、食べ物のカスなどを分解する際に、嫌なニオイのガスを作り出します。
- 見た目の問題・・・特に目立つ下の前歯の裏側や、上の奥歯の外側などに歯石がついてしまうと、歯が黄ばんで見えたり、黒っぽい塊が付着しているように見えたりします。
歯周病は、日本の成人の約8割が罹患しているといわれる非常に身近な病気です。しかし、初期段階ではほとんど自覚症状がなく、気づいた時には重症化しているケースも少なくありません。

歯石除去で痛みを感じる主な原因
歯石除去は、基本的に痛みは生じません。しかし、歯石の蓄積状態や歯茎の状態によっては痛みを感じてしまうこともあります。
痛みを感じやすい主な原因を詳しく見ていきましょう。
歯茎の炎症による痛み
歯石が付着していると、歯茎は細菌感染を起こし炎症を引き起こしやすくなります。
軽い炎症なら痛みを感じにくいですが、歯茎から出血が見られる場合などは炎症が強く、痛みを感じやすくなります。健康な歯茎の色はピンク色ですが、炎症が起きている歯茎は赤く腫れたり、紫色になったりすることがあります。
痛みが強い場合は、ブラッシングなど適切なケアを行い、最初に歯茎の炎症を落ち着かせてから治療を行ったり、必要な場合は麻酔を使用して治療を行います。
歯石の蓄積量による痛み
歯石は歯ブラシでは取れません。そのため、放っておくと少しずつ蓄積し、硬くなります。
硬くなった歯石は、取り除くのに強い力が必要になります。その刺激で痛みを感じやすくなります。歯石取りを定期的に受けていただくと、歯石が蓄積しにくく、硬くなりすぎる前に除去することができるので、痛みも感じにくくなります。
知覚過敏による痛み
歯と歯茎の間は知覚過敏になりやすいです。知覚過敏とは、冷たい物や歯ブラシなどが歯に触れると、しみる症状が生じることです。
特に、歯茎が下がっている場合に起こりやすいです。歯石の量が少なければ、知覚過敏用の薬を塗布してから治療を行ったり、治療中に水を使用する場合はお湯に換えて治療を進めることで痛みを軽減させる方法もあります。
歯石の量が多かったり、痛みが強い場合は、麻酔を行ってから施術することもできます。

歯石除去後に痛みを感じる理由
歯石除去を行った後に痛みやしみる症状が続くことがあります。特に、「歯石の付着量が多く、歯茎の炎症が強い方」に症状が出やすいです。
歯茎への刺激による痛み
歯石を取り除く際に、歯茎を刺激してしまいます。その結果、処置後に一時的な痛みや腫れを感じることがありますが、徐々に収まります。
歯石が覆っていた歯が露出して敏感になる
歯石の付着量が多いと、歯と歯茎の間の部分を覆うように歯石が付着することがあります。
歯が歯石で覆われていると外部からの刺激が歯に伝わりにくくなります。このような状態で、歯石取りを行うと、それまで伝わりにくくなっていた刺激が直接歯に伝わるようになり、しみるような症状が生じやすくなります。
数日で症状が落ち着いてくることがほとんどですが、長く続く場合は、知覚過敏用の歯磨き粉などを使用していただくと良いです。
歯茎が下がることによる痛み
歯石が蓄積している方は、長い間歯茎の炎症が繰り返し起こっている可能性が高いです。炎症を繰り返している方は、治療完了後に、歯茎が下がりやすくなります。
歯茎が下がると歯の根っこの部分が出てきます。歯の根の部分は、外部の刺激が伝わりやすく、冷たい物を食べたり飲んだりすると、しみる症状が出やすくなります。
歯茎を下がりにくくするためには、早めの治療と正しいケアを継続して行い、歯茎の炎症を繰り返さないことが重要になります。
歯石除去の痛みを軽減する方法
歯石除去の痛みを軽減するために、以下の方法が有効です。
歯科医院でできる痛み対策
痛みが強い場合は、麻酔を使用して治療を行うことができます。麻酔を使用することで、痛みを感じることなく、安心して歯石除去を受けていただけます。
また、知覚過敏用の薬を塗布してから治療を行ったり、治療中に水を使用する場合はお湯に換えて治療を進めることで痛みを軽減させる方法もあります。
痛みに不安がある方は、遠慮なく歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。

歯石除去後の痛み対策
歯石取り後に痛みを感じる場合、以下の対策が有効です。
- 刺激のある食べ物や飲み物を避ける・・・歯石取り後は一時的に歯が敏感になることがあります。そのため、冷たいものや熱いもの、辛いものなど刺激のある食べ物や飲み物を避けることで、痛みを軽減できます。
- やさしいブラッシング・・・歯石取り後は歯茎が敏感になることがあるため、やさしくブラッシングすることが大切です。歯ブラシは柔らかめのものを選び、力を入れずに歯を磨くように心がけましょう。
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使用する・・・歯石取り後にしみる痛みがある場合は、知覚過敏用の歯磨き粉を使用することが効果的です。知覚過敏用の歯磨き粉には、歯の表面を保護する成分が含まれており、痛みを軽減できます。
痛みを予防するための日常ケア
歯石除去の痛みを軽減するためには、日常的なケアが非常に重要です。
日常のブラッシングの徹底
歯石ができる前に、歯垢をしっかり除去することが、歯石取りの痛みを軽減する最も効果的な予防策です。
歯ブラシや歯間ブラシ、フロスを使って、歯と歯茎の隙間を丁寧に磨くことが大切です。プラークは、主に細菌で構成されていて、その中には歯周病原菌も含まれます。歯周病の原因となる細菌は歯と歯肉の隙間、「歯周ポケット」で増殖することで、歯肉に炎症を起こし、さらに歯を支えている骨を溶かしてしまいます。
定期的な歯科検診の受診
歯石の量が増える前に歯科医院で歯石を除去することで、歯石取りの痛みを軽減できます。一般的に歯石の除去は3ヶ月に1度が目安です。
定期的に歯科検診を受けることで、歯周病や虫歯のリスクも低くなります。阪東橋歯科クリニックでは、定期健診とPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を中心に、普段の歯磨きでは落としきれない汚れの除去、歯石・着色の除去、フッ素塗布による歯質強化、正しいセルフケア方法の指導を行っています。
「何も問題がない状態を維持するために通う歯科医院」として、予防歯科を重視した診療を行っています。

歯周病と全身の健康との関係
歯周病はお口の中だけの問題ではありません。歯周病菌が血流に乗って全身に巡ることで、さまざまな全身疾患との関連が指摘されています。
歯周病が関連する全身疾患
- 心臓病・・・歯周病菌が血管を経由して心臓に到達し、心臓病のリスクを高める可能性があります。
- 脳卒中・・・炎症に関連した化学物質が血管を経由して体中に放出され、脳卒中のリスクを高めます。
- 糖尿病・・・歯周病があると血糖コントロールが難しくなることがわかっています。一方で、歯周病の治療をきちんと行うと血糖値が改善するという研究成果も数多く報告されています。
- 肺炎・・・口の中の細菌が誤って気管に入り、肺炎が引き起こされることがあります。
- 早産・低体重児出産・・・妊娠中の歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを高める可能性があります。
中等度以上の歯周ポケットが口の中全体にある場合、そのポケット表面積の合計は掌(てのひら)と同じ程度と考えられています。歯周ポケットの中身は外からはなかなか見えませんが、手のひらサイズの出血や膿が治療なしで放置されていると考えると、からだ全体からも無視できない問題であることが理解できると思います。
阪東橋歯科クリニックでは、歯周病治療を全身の健康管理の一環と捉え、将来の健康リスクを見据えた診療を行っています。
出典
国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「歯周病と糖尿病の深い関係」
より作成
阪東橋歯科クリニックの歯周病治療と予防歯科
阪東橋歯科クリニックでは、日本歯周病学会が示す歯周病治療ガイドラインに基づき、科学的根拠に沿った段階的な治療を行っています。
段階的な歯周病治療
歯ぐきの状態、骨の吸収度合い、生活習慣まで総合的に評価し、その方にとって無理のない、現実的な治療計画をご提案しています。
- ブラッシング指導・・・患者さん自身でプラークを取り除けるような練習を行います。プラークコントロールは歯周病治療の中心となります。
- スケーリング・ルートプレーニング・・・歯周ポケットの中に付着しているプラークや歯石を超音波振動機器や手用器具を用いて取り除きます。
- 歯肉剥離掻把術(FOP)・・・重度症例には外科的処置も対応しています。歯肉を切開して歯槽骨から剥離し、露出した歯根のプラークや歯石の除去、歯槽骨の清掃、およびダメージを受けた歯肉組織などを除去した後、歯肉を元の状態に戻します。

予防歯科で「治療が必要ない口」を目指す
むし歯や歯周病は、一度治療をしても元の健康な状態に完全に戻るわけではありません。削る・治す治療を繰り返すほど、歯の寿命は短くなってしまいます。
そのため当院では、「悪くなってから治す」のではなく、「悪くならないように守る」予防歯科を重視しています。定期健診とPMTCによる徹底した予防管理で、むし歯・歯周病の発症リスクを根本から下げていきます。
歯ぐきの腫れや出血、違和感がある方はもちろん、症状がなくても定期的なチェックをおすすめしています。「今ある歯をできるだけ残すこと」「将来も安心して食事・会話ができること」を目標に、予防歯科と歯周病治療に取り組んでいます。
まとめ
歯石除去で痛みを感じるのは、健康な口腔内であれば異常なことです。痛みの主な原因は、歯茎の炎症、歯石の蓄積量、知覚過敏などです。
痛みを軽減するためには、麻酔の使用や知覚過敏用の薬の塗布など、歯科医院でできる対策があります。また、日常的なブラッシングの徹底と定期的な歯科検診が、痛みを予防する最も効果的な方法です。
歯周病は全身の健康にも影響を与える病気です。早期発見・早期治療が重要ですので、歯茎の腫れや出血、違和感がある方は、ぜひ阪東橋歯科クリニックにご相談ください。
「何も問題がない状態を維持するために通う歯科医院」として、皆さまの口腔健康をサポートいたします。
著者情報
阪東橋歯科クリニック 院長 瀧川 龍一

経歴
・日本大学中学校・高等学校 卒業
・日本大学松戸歯学部 卒業
・日本大学松戸歯学部臨床研修医 修了
・日本大学松戸歯学部顎口腔機能治療学講座 非常勤医員
・横浜市歯科医院にて副院長
・都内歯科医院にて分院長
・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医
所属
日本歯科補綴学会
クラ・ゼミ保育園 吉野町 園医
ララランド横浜伊勢佐木 園医









