歯石取りのメリット・デメリットとは?後悔しないために知っておきたい注意点

歯石取りを受けようか迷っている方へ。

「痛そうだから避けたい」「本当に必要なの?」と感じている方も多いかもしれません。実は、歯石取りは歯周病の予防や口臭の改善に欠かせない治療です。

この記事では、歯石取りのメリットとデメリット、施術後の注意点、歯科医院選びのポイントまで詳しく解説します。

健康な歯を長く保つために、正しい知識を身につけましょう。

歯石取りとは?なぜ必要なのか

歯石とは、歯垢(プラーク)が唾液中のミネラル成分と結合して硬くなったものです。

歯垢は柔らかいため歯磨きで落とせますが、放置すると約2〜3日で石灰化が始まり、2週間ほどで歯石になります。一度歯石になると、歯ブラシでは取り除けません。

歯石には白い「歯肉縁上歯石」と赤黒い「歯肉縁下歯石」の2種類があります。白い歯石は歯茎の縁の上側に付きやすく、赤黒い歯石は歯茎の縁の下に付きます。赤黒い歯石が付いている場合、口内に炎症が起きている可能性があります。

歯石の表面はザラザラしており、小石のような質感です。このザラザラした部分には汚れが付きやすく、さらに歯垢が溜まりやすくなります。歯垢が歯石になって、歯石があることでさらに歯垢が溜まるという悪循環が生まれます。

歯石を放置すると、歯周病の進行を誘発し、やがてあごの骨にまで炎症が広がり、骨を溶かしてしまいます(骨吸収)。このことから、歯石取りには大きな意味があり、定期的に行う必要がある治療と言えます。

歯石取りの主なメリット4つ

【メリット1】歯周病を防げる

歯周病は日本の成人の約8割が罹患しているといわれる身近な病気です。

初期段階ではほとんど自覚症状がなく、気づいた時には重症化しているケースも少なくありません。歯石の表面はざらついているため、その凹凸により汚れが沈着しやすくなり、歯周病が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。

歯石取りはこの悪循環を断ち切り、歯周病を予防する有効な手段です。歯周病の初期は自覚症状がなく痛みも感じないので、歯石取りの意味が薄く感じるかもしれませんが、症状が出ていない頃からの予防が最も効果的です。

歯周病は、歯肉の退縮や出血・歯の動揺・歯槽骨の吸収などを引き起こし、やがて歯が抜け落ちてしまいます。定期的なクリーニングを習慣づけることは、とても有効な歯周病対策になります。

【メリット2】口臭を軽減できる

歯石は細菌の塊であるプラークがカルシウムを取り込み、硬くなったものです。

そのため、歯石の中には細菌が潜み、増殖しています。また、歯石の表面はざらざらしていて、細菌が付着しやすい環境です。そのため、歯石の付着は病的口臭の原因となってしまいます。

歯石は細菌の死骸や血液・浸出液なども含まれており、放置することで特有の悪臭を放ちます。臭いそのものには直接的な健康被害はありませんが、エチケットの面で印象を悪くしてしまいます。

歯石が長く放置されればされるほど、細菌は増殖し、口臭が悪化する可能性がありますが、早い段階で除去することができれば、口臭を防ぐことができます。

【メリット3】歯磨きの効果が高まる

歯石があると、その凹凸によって歯ブラシが歯の表面にしっかり当たりにくくなります。

歯石を除去することで、歯の表面が滑らかになり、歯磨きの効果が高まります。普段のブラッシングで汚れを落としやすくなり、むし歯や歯周病の発症リスクを根本から下げていくことができます。

【メリット4】着色汚れが落ちる

歯石の表面には凹凸が多く、さまざまな汚れが付着しやすい環境です。

そしてそれは着色汚れも例外ではありません。むしろ、歯石が付着すると着色しやすくなり、より目立つようになります。歯石がつきやすいのは歯の根本ですが、歯磨きが適切でないと歯の表面全体につくこともあり、その上にステインが付着すると、歯が茶色く変色したように見えるようになってしまいます。

クリーニング時は、この着色ごと歯石を除去するため、歯の色が明るくなったように感じる方もいらっしゃいます。

歯石取りのデメリットと注意点

【デメリット1】歯茎から出血しやすくなる

歯茎から出血してしまう可能性が高いです。

歯石が付いているところは、既に歯茎に炎症がおきている場合が多く、わずかな刺激で出血しやすくなっています。歯周ポケットの奥深くにある歯石を取る場合は、ほぼ出血してしまいます。

なお、歯周病が改善していれば、出血する可能性は低くなっていきます。歯肉から血が出るなどの主訴をもって受診され、歯周病の検査を行い、歯科医師が必要と判断した場合、歯のクリーニングは保険適用となります。

【デメリット2】知覚過敏が出ることがある

歯周病が進行している場合、歯石取りの段階で知覚過敏の症状が出ることがあります。

知覚過敏とは歯の内側にある象牙質が露出したり、エナメル質が薄くなってしまったりして、神経を刺激してしまうことです。歯石が溜まっていると歯茎が腫れて、象牙質の部分を覆い隠している状態になります。

歯石を取ると象牙質が外に出てくるので、しみてしまう方もいます。また、歯石を取る際に、歯茎と歯の間に力を加えるので神経を刺激しやすく、知覚過敏の症状が出ることがあります。

これは、歯と歯茎の間をコーティングしていた歯石が取り除かれることによって一時的な知覚過敏の症状が出るためです。一時的なもので、歯肉の腫れが落ち着くと治ってくる場合がほとんどですが、症状が長く続く場合には知覚過敏の処置が必要になることもあります。

【デメリット3】歯がスカスカになる

歯石が歯茎の下がっていた部分を埋めていた場合、歯石を取ると「歯がスカスカになった」と感じることがあります。

特に、歯石が多い人ほど感じやすい傾向にあります。しかし、歯石取りによって歯がスカスカになるのは、一時的なものです。治療を受けたり歯磨きなどのセルフケアを続けることで、徐々に改善していきます。

歯周病が重度の場合、歯石を除去することによって歯がグラグラしてくることがあります。歯周病は骨を溶かす疾患です。歯周病が進行している場合、歯石が接着剤の役割を果たしていることがあり、それを除去することによって、歯がグラグラしてしまうのです。

この場合は歯を固定する処置が別に必要です。歯石でくっつけておけばいいのでは?と思うかもしれませんが、放置してしまうと、さらに歯周病が進行して歯がごっそり抜けてしまうこともあるので、歯を残したい方はしっかりと歯石を除去することをおすすめします。

歯石取りが痛いと感じる原因

歯石取り中の痛みの原因

歯石が付着している場合、除去は必要な処置ですが、痛みが気になってなかなか踏み出せない…という方もいらっしゃると思います。

歯石除去を行う際、歯肉の腫れがひどいと痛みを引き起こしやすくなります。歯周病による炎症が強い状態で歯石を取ると、痛みを伴う場合もあります。

そのため、しっかりと歯磨きを行い、なるべく歯肉の腫れが引いた状態で行うと痛みが少なくなります。この観点から、患者さまの状態によって、歯石を一気に除去するのではなく、少しずつ除去していく場合もあります。

来院回数は多くなってしまいますが、歯肉の腫れを引かせながら歯石を除去することで、痛みが少なく、歯石の取り残しを防ぐことができます。

歯石取り後の痛みの原因

歯石がたくさん付着している場合、一気に取ると歯の根本がしみる症状が出ることがあります。

これは、歯と歯茎の間をコーティングしていた歯石が取り除かれることによって一時的な知覚過敏の症状が出るためです。一時的なもので、歯肉の腫れが落ち着くと治ってくる場合がほとんどですが、症状が長く続く場合には知覚過敏の処置が必要になることもあります。

また、歯石がどうしてもつきやすいという方は、歯石が柔らかいうちに、定期的な歯石除去を行うことで、痛み少なく処置を受けることができます。長期間放置して硬くなった歯石を除去する場合、痛みを感じやすくなります。

歯石取りの流れと施術内容

歯石取りは、専門の器具「スケーラー」を使って行います。

一般的な流れは以下の通りです。

  • 歯周病の検査・・・歯周ポケットの深さや歯ぐきの状態を確認します。
  • ブラッシング指導・・・正しい歯磨き方法を学び、原因除去を行います。
  • スケーリング・・・歯茎の縁の上側に付いた歯石を除去します。
  • ルートプレーニング・・・歯周ポケット内の歯石・感染組織を除去し、歯の根をなめらかにします。
  • 必要に応じた外科的処置・・・重度症例には歯肉剥離掻把術(FOP)など外科的処置にも対応します。

阪東橋歯科クリニックでは、日本歯周病学会が示す歯周病治療ガイドラインに基づき、科学的根拠に沿った段階的な治療を行っています。歯ぐきの状態、骨の吸収度合い、生活習慣まで総合的に評価し、その方にとって無理のない、現実的な治療計画を提案しています。

歯石が溜まっている場合は初期の歯周病の可能性が高く、健康保険が適用されます。また、歯科医院で受けたクリーニングなどは、保険診療と自由診療のどちらも、審美のみを目的としない場合はご家族の分も含めて医療費控除の対象となります。

自分で歯石取りをするのは危険

「自分で歯石を取れないかな?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、セルフケアは状態を悪化させる可能性があります。市販のスケーラーを使って自分で歯石を取ろうとすると、歯や歯茎を傷つけてしまうリスクがあります。

また、見えない部分に歯石が溜まることも問題です。歯周ポケットの奥深くにある歯石は、自分では確認できません。専門的な器具と技術がなければ、適切に除去することはできません。

歯石取りは、歯科医院で定期的に受けることをおすすめします。

歯石をつきにくくするために普段からできること

【できること1】歯磨きを丁寧に行い歯垢をためないようにする

歯石の原因となる歯垢を溜めないことが最も重要です。

毎日の丁寧なブラッシングで、歯垢を除去しましょう。特に、歯と歯茎の境目や歯と歯の間は歯垢が溜まりやすいため、意識して磨くことが大切です。

歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると、より効果的に歯垢を除去できます。正しいセルフケア方法については、歯科医院で指導を受けることをおすすめします。

【できること2】定期的に歯科医院でクリーニングを行う

どんなに丁寧に歯磨きをしても、完全に歯垢を除去することは難しいものです。

定期的に歯科医院でPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を受けることで、普段の歯磨きでは落としきれない汚れの除去、歯石・着色の除去、フッ素塗布による歯質強化が可能です。

定期健診とPMTCを中心に、むし歯・歯周病の発症リスクを根本から下げていきます。予防歯科がもたらすメリットとして、むし歯・歯周病の早期発見・早期治療、痛みや治療負担の軽減、通院回数・医療費の抑制、自分の歯で長く食事を楽しめることが挙げられます。

阪東橋歯科クリニックでは、「何も問題がない状態を維持するために通う歯科医院」であることを目指しています。

後悔しないための歯科医院選びのポイント

歯石取りを受ける歯科医院選びは、とても重要です。

以下のポイントを参考にしてください。

  • 科学的根拠に基づいた治療を行っているか・・・日本歯周病学会のガイドラインに沿った治療を行っているかを確認しましょう。
  • 丁寧な説明があるか・・・治療内容やメリット・デメリットを分かりやすく説明してくれる歯科医院を選びましょう。
  • 予防歯科に力を入れているか・・・「悪くなってから治す」のではなく「悪くならないように守る」予防歯科を重視している歯科医院がおすすめです。
  • 複数の治療選択肢を提示してくれるか・・・一人ひとりに合わせたオーダーメイド診療を行っている歯科医院を選びましょう。

阪東橋歯科クリニックでは、歯周病や予防ケアに正解は一つではなく、生活習慣、年齢、セルフケアの状況によって必要な治療やケア内容は異なるという考えのもと、複数の治療選択肢を提示し、患者さまが納得した上で治療を進めることを大切にしています。

メリットだけでなく、デメリットや注意点も丁寧に説明し、無理のない治療計画を立てていきます。

まとめ:歯石取りは健康な歯を守るための大切な治療

歯石取りには、歯周病の予防、口臭の軽減、歯磨き効果の向上、着色汚れの除去といったメリットがあります。

一方で、出血や知覚過敏、一時的な歯のスカスカ感といったデメリットもありますが、これらは適切な治療と時間の経過で改善していきます。

歯周病は、歯周病菌が血流に乗って全身に巡ることで、心臓病、脳卒中、糖尿病、肺炎、早産・低体重児出産など、全身疾患との関連が指摘されています。歯周病治療を全身の健康管理の一環と捉え、将来の健康リスクを見据えた診療を受けることが大切です。

「今ある歯をできるだけ残すこと」「将来も安心して食事・会話ができること」を目標に、予防歯科と歯周病治療に取り組みましょう。

歯ぐきの腫れや出血、違和感がある方はもちろん、症状がなくても定期的なチェックをおすすめします。阪東橋歯科クリニックでは、患者さまお一人おひとりに合わせた治療計画をご提案しています。

歯石取りや予防歯科について、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に阪東橋歯科クリニックまでお問い合わせください。

著者情報

阪東橋歯科クリニック 院長 瀧川 龍一

経歴

・日本大学中学校・高等学校 卒業

・日本大学松戸歯学部 卒業

・日本大学松戸歯学部臨床研修医 修了

・日本大学松戸歯学部顎口腔機能治療学講座 非常勤医員

・横浜市歯科医院にて副院長

・都内歯科医院にて分院長

・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医

所属

日本歯科補綴学会

クラ・ゼミ保育園 吉野町 園医

ララランド横浜伊勢佐木 園医