歯茎の腫れは何日で治る?症状の経過の目安と歯科受診を考えるタイミング

「歯茎が腫れているけど、これって何日で治るのかな?」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

歯茎の腫れは、原因によって治るまでの期間が大きく異なります。軽い歯肉炎であれば2〜3週間程度で改善することもありますが、歯周病や虫歯が原因の場合はさらに時間がかかることも・・・。

この記事では、歯茎の腫れが治るまでの期間の目安と、早期受診が必要なサインについて詳しく解説します。

歯茎の腫れが治るまでの期間は原因によって異なる

歯茎の腫れが治るまでの期間は、その原因によって大きく変わります。

例えば、歯ブラシで強くこすりすぎて起こる擦過傷や、一時的な食片圧入(食べかすが歯と歯茎の間に挟まって炎症を起こす状態)であれば、数日で改善することがほとんどです。

一方で、歯周病や虫歯が原因の場合は、適切な治療を受けても数週間から数ヶ月かかることがあります。特に歯周病は、進行度によって治療期間が大きく変わるため注意が必要です。

軽度の歯肉炎の場合

軽度の歯肉炎であれば、適切なブラッシングと歯科医院でのクリーニングにより、おおよそ2〜3週間程度で改善が見られることが多いです。

歯肉炎は、歯に歯垢や歯石が溜まることで歯茎が炎症を起こしている状態です。初期段階では痛みがなく、歯磨きのときに歯ブラシに血がつく程度のため、放置されがちですが、早めの対処が重要です。

治療は、まず歯肉の検査を行い、歯と歯肉の間にあるポケット付近の歯石を取り除きます。さらにクリーニングを行ったのち、定期的なメンテナンスで経過を観察し、歯周病予防を行っていきます。軽度であれば、期間もおおよそ1か月以内で、通院回数も少なくて済みます。

中度〜重度の歯周病の場合

中度の歯周病の場合、治療期間はおよそ3か月程度となります。

中度になると、歯肉が腫れ、しだいに歯と歯肉が離れていきます。そのまま進行すると、歯や歯肉の下にある骨にまで影響を及ぼし、細菌が発する毒素により骨が「溶かされて」いきます。この時点でも痛みはあまり感じませんが、違和感や口臭がするようになります。

治療では、歯肉の下の歯石除去を数回に分けて行うことで、通院回数も多くなります。

さらに重度の場合は、広い範囲に炎症が表れ、顎の骨がさらに溶けてしまいます。そこまで進行すると歯を支えられなくなり、歯がぐらぐらしてきます。歯がぐらぐらしてくると咬むことができないので、うまく食事がとれないなど日常生活にも支障がでてきてしまいます。

歯肉も腫れ、膿も出てきますので、かなり不快感を伴いますし、何もしていなくても歯の痛みや口臭がひどくなります。治療期間は外科治療や噛み合わせの治療に時間や回数がかかる場合も多く、およそ6か月〜1年程度となります。

虫歯や根の病気が原因の場合

虫歯や歯の神経の炎症が悪化すると、歯の根の先端に膿の袋ができる場合があります。これにより歯茎が腫れて、歯茎に膿の出口ができて白く小さな突起のようなできものがつくられます。

膿が歯茎にできた穴から出ると、症状が治ったような気がしますが、膿が溜まるとまた歯茎が腫れ、膿が出る場合があります。根本の原因を取り除かない限り、再び膿は出てきます。

治療では、根管治療(歯の神経の治療)や、場合によっては外科的処置が必要になることもあり、数週間から数ヶ月かかることがあります。

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自然に治る歯茎の腫れと治療が必要な腫れの見分け方

歯茎の腫れには、自然に治るものと、歯科医院での治療が必要なものがあります。

自然に治る可能性があるのは、擦過傷(歯ブラシで歯茎を強くこすりすぎて起こる症状)や、一時的な食片圧入、軽度の口内炎などです。これらは、原因を取り除けば数日で改善することが多いです。

一方で、歯周病や虫歯、歯の根の病気が原因の場合は、自然に治ることはありません。放置すると症状が悪化し、最悪の場合は歯を失ってしまう可能性もあります。

自然に治る可能性がある歯茎の腫れ

擦過傷の場合、歯茎がすり切れて炎症を起こすため、腫れてしまいます。傷が治るまでは、歯ブラシを当てると痛いだけでなく、ケチャップや醤油などの塩分が濃い食べ物やからい食べ物などがしみて痛みを感じます。優しいブラッシングを心がけ、刺激物を避けることで、数日で改善することがほとんどです。

食片圧入の場合、食べかすを取り除いてきれいにすると治まりますが、食べ物が挟まっている感覚がない場合は、痛みが出るまでは気づきにくい症状です。デンタルフロスや歯間ブラシを使って丁寧に清掃することで改善します。

口内炎で一般的なものは「アフタ性口内炎」で、体調不良やストレス、ビタミン不足によって起こることが多いです。赤い縁どりがあり、中央が白い潰瘍ができます。大きさは2〜10mmほどが多く、1つだけできることもあれば、複数の口内炎が一度にできる場合もあります。通常、1〜2週間で自然に治ります。

治療が必要な歯茎の腫れ

歯周病が原因で歯茎が腫れている場合、「中度歯周炎」にまで進行していることが考えられます。歯周病治療はプラーク(歯垢)・歯石を除去するのが基本ですが、中度歯周炎や重度歯周炎にまで進行していると歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)が深くなっていて、専用の機器でも奥まで届かない場合があります。

このような場合は、歯茎を切開して歯根を露出させ、目視で歯根面の歯石を除去する外科的処置が必要になることもあります。

また、歯の根が割れている場合も、細菌感染を起こして歯茎が腫れる場合があります。噛み合わせのダメージや外傷、被せ物をしている歯の土台のトラブルなどが原因で起こります。歯の神経が死んでいる歯は、歯質が脆くなっているため、何かの拍子に歯が割れてしまう可能性があります。この場合、抜歯が必要になることもあります。

早期受診が必要な歯茎の腫れのサイン

以下のような症状がある場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

2週間以上治らない腫れ

歯茎の腫れが2週間以上続く場合は、自然治癒が期待できない可能性が高いです。

特に、口内炎と見分けがつきにくい悪性腫瘍の場合、2週間以上治らない場合や潰瘍や腫れが大きくなってきた場合は、早期に歯医者でみてもらう必要があります。歯茎が腫れる可能性のある悪性腫瘍は、歯茎がんと悪性黒色腫、悪性リンパ腫です。50歳以上の男性に現れる傾向があり、症状が進行すると噛んだり飲んだりする機能が低下します。

また、発音がしにくくなる場合や、口が開かなくなる場合もあります。口は首のリンパ節に近いため、リンパ節に転移すると首まで腫れが広がっていきます。

膿が出ている

歯茎から膿が出ている場合は、歯周病や歯の根の病気が進行している可能性が高いです。

歯茎から膿が出ている原因が歯周病なのであれば、歯周病を治さない限り膿は止まりません。それどころか、歯茎の膿を放置していると、さらに症状が進行して歯を失ってしまう可能性も出てきます。

また、根尖病巣が原因で歯茎から膿が出ることもありますが、この場合も放置しておくと症状が進行して、歯を残すのが難しくなってしまいます。

自分で膿を出す行為は危険です。膿袋を指で押したり針を指したりすると、細菌が入り込んでしまい、逆に症状がひどくなるリスクがあります。

痛みが強い、または痛みが増している

歯茎の腫れに伴って強い痛みがある場合や、日に日に痛みが増している場合は、炎症が進行している可能性があります。

特に、何もしていなくても痛む場合や、夜間に痛みで眠れない場合は、早急に受診する必要があります。

また、血行を促すような行為(入浴や飲酒、激しい運動など)は控えたほうがいいでしょう。血行が良くなると、どうしても痛みや腫れが出やすくなります。それまで痛みがなくても、血行が良くなると痛み出すことがありますし、すでに痛みがある場合は、さらに強くズキズキと痛むようになるおそれがあります。

歯がぐらつく

歯茎の腫れとともに歯がぐらつく場合は、歯周病がかなり進行している可能性があります。

重度歯周炎にまで進行すると、腫れ・出血・膿・歯のグラつき・口臭がひどくなり、歯の隙間が目立つようになります。歯を残すのが難しくなってしまうこともあるため、できるだけ早く受診することが重要です。

歯茎の腫れを放置するリスク

歯茎の腫れを放置すると、さまざまなリスクがあります。

むし歯を放置していると、痛みを感じなくなってくることがあります。しかし「痛くなくなったから大丈夫」という判断はとても危険です。むし歯は次第に重症化していき、歯を支えている骨にまで悪影響を及ぼすことがあります。そのため、むし歯は放置すればするほど治療期間や治療費用の負担も増えてしまいます。

歯を失うリスク

歯周病や虫歯が原因の歯茎の腫れを放置すると、最終的には歯を失ってしまう可能性があります。

日本の成人の約8割がかかっているといわれる歯周病は、歯を失う原因第一位でもあるお口の病気です。歯周病になると、細菌が歯と歯ぐきに入り込んで炎症を起こします。悪化すると歯の支えとなる顎の骨まで溶かされてしまうため、最悪の場合は歯が抜け落ちてしまうこともあります。

全身への影響

歯周病はお口の中の問題だけではありません。歯周病菌が口腔内から血管や気管に入り込むと、全身を巡って様々な疾患を引き起こすという研究結果が出ています。

具体的には、脳卒中、肺炎、心臓病、糖尿病、低体重児出産・早産などのリスクが高まることが知られています。

治療期間と費用の増加

歯茎の腫れを放置すればするほど、治療期間や治療費用の負担も増えてしまいます。

少しでも楽に治療を済ませるためにも、お早めの治療がおすすめです。むし歯や歯周病にかかってしまった場合、数回の通院が必要になることがほとんどです。通院回数が増えることで、それだけ治療費もかかります。年に数回、定期的に予防歯科を受診することでむし歯や歯周病を予防できれば結果的に医療費の節約にも繋がります。

歯茎の腫れを予防するための日常ケア

歯茎の腫れを予防するためには、日常的なケアが重要です。

正しいブラッシング

毎日のブラッシングがとても重要です。歯垢はどれだけ歯科医院で綺麗に除去しても、すぐに付着して増えるため、正しいブラッシングで取り除くことが大切です。

歯ブラシは、毛先が細く柔らかいものを選び、歯と歯茎の境目を丁寧に磨くようにしましょう。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうため、優しく磨くことがポイントです。

デンタルフロスや歯間ブラシの使用

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に取り除くことはできません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、より効果的に歯垢を除去できます。

定期的な歯科健診

定期健診を受けることによって、もしもむし歯や歯周病になってしまった場合でも初期の段階で治療を始められます。早期発見で痛みも少なく、治療も最小限に抑えられます。

予防ケアを定期的に行ったり定期健診で歯の状態を確かめることで、むし歯・歯周病を未然に防ぐことができます。普段のセルフケアでは落としきれない汚れを歯科医院での予防ケアで落とすことは非常に有効な予防方法です。

生活習慣の見直し

重度の歯周病の方は、生活習慣を見直すことも必要です。喫煙者は非喫煙者と比べて歯周病になるリスクが4倍以上になるとも言われています。歯周病を治療するためには禁煙をするなど、自らの生活習慣を見直すことも重要となってきます。

また、バランスの取れた食事や十分な睡眠、ストレス管理なども、お口の健康を保つために大切です。

まとめ

歯茎の腫れが治るまでの期間は、原因によって大きく異なります。

軽度の歯肉炎であれば2〜3週間程度で改善することもありますが、中度〜重度の歯周病の場合は3か月〜1年程度かかることもあります。虫歯や歯の根の病気が原因の場合も、数週間から数ヶ月の治療期間が必要です。

2週間以上治らない腫れ、膿が出ている、強い痛みがある、歯がぐらつくなどの症状がある場合は、早めに歯科医院を受診することが大切です。

歯茎の腫れを放置すると、歯を失うリスクや全身への影響、治療期間と費用の増加などのリスクがあります。日常的な正しいブラッシングやデンタルフロスの使用、定期的な歯科健診、生活習慣の見直しなどで予防することが重要です。

気になる症状がございましたら、お早めにご相談ください。当院では、日本歯周病学会による歯周病治療ガイドラインに沿った歯周病治療を行い、患者様お一人おひとりの症状に合わせた治療をご提案させていただきます。

詳しくは、阪東橋歯科クリニックまでお気軽にお問い合わせください。

著者情報

阪東橋歯科クリニック 院長 瀧川 龍一

経歴

・日本大学中学校・高等学校 卒業

・日本大学松戸歯学部 卒業

・日本大学松戸歯学部臨床研修医 修了

・日本大学松戸歯学部顎口腔機能治療学講座 非常勤医員

・横浜市歯科医院にて副院長

・都内歯科医院にて分院長

・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医

所属

日本歯科補綴学会

クラ・ゼミ保育園 吉野町 園医

ララランド横浜伊勢佐木 園医